設立趣意書

設立趣意書

北海道高度情報化農業研究会

60億人を超えて増大を続ける世界人口は、開発途上国を中心に増加を続け、今世紀半ばには90億人を突破するとの見通しが出されるなど、世界的な食料不足が懸念されています。また、産業や経済の拡大によって、人類の生存基盤である大気、水、生態系の劣化が急激に、また地球規模で進んでいます。21世紀には、この人口・食料・環境のトリレンマの解決が鋭く求められています。

一方、私たちの住む北海道は、人口の札幌圏への集中と地方の過疎化が深刻であり、地域経済を支える農業は、規模拡大による 経営の効率化や農産物生産のコスト低減努力が求められることはもとより、環境と調和した農業の展開や農畜産物のトレーサビリティーの推進等、安全・安心な農畜産物を安価に安定的に消費者に供給していくことが求められています。

情報化は、狭い範囲の個人の経験に束縛されない知識の獲得、「もの」の提供から「情報サービス」の提供への産業構造の変化、情報による資源やエネルギーの代替など、環境を保全しつつ生産性を向上させるという特長があります。

このため、人口・食料・環境のトリレンマの解決にとっても、また北海道農業の課題解決にとっても、農業の情報化は大きな可能性を秘めていると考えます。

これまで、一部の先進的農家や農業組織を除けば、農業と情報化は結びつくことのない異次元の世界であったといっても過言ではありません。しかし、現在では、情報技術( IT )は農業の各分野において活用可能な誰もの利用できる技術となりつつあります。

GPSを用いた精密農業モデル農業生産分野では、全地球測位システム( GPS )や地理情報システム( GIS )、リモートセンシング( RS )、生産資材の可変散布等の情報技術を活用して、生産性の向上を図るのみならず環境保全を促進する精密農業( Precision Farming )の研究が進んでいます。また、生産基盤整備の各種調査や評価にも活用されつつあります。

販売流通分野では、安全・安心な農産物の直接取引、流通コストの削減、「生産から食卓まで」のトレーサビリテイシステムの導入などが始まっていますが、これらのツールとして、インターネットや携帯電話、ICタグなどの情報技術は不可欠です。

集積情報から実作業へのフィードバックモデル農業組織においても、 GIS を活用した地域農業情報システムなどにより、地域住民や生産者への生活・農業情報の提供や地域資源管理への活用などが始まっています。

北海道農業の情報化を一層促進するためには、 現在個別に取り組まれている研究開発について、相互に情報を共有化し、一層効率的・効果的に推進することが求められています。

このためには、各関係分野の研究者や企業、農業者、関係機関・団体等の幅広い参画を得て、情報交換や各種プロジェクトの推進支援を図ることが必要と考えます。以上の趣旨から、ここに「北海道高度情報化農業研究会(仮称)」の設立を呼びかけるものです。

                 平成16年11月15日

 呼びかけ人

  • 代表 武田 善行(財団法人 北海道農業開発公社)

以下50音順

  • 金子 正美(酪農学園大学地域環境学科)
  • 川本 保雄(北海道土地改良事業団体連合会)
  • 蒲原 直之(社団法人 北海道 土地改良設計技術協会)
  • 佐鳥 新 (北海道工業大学電気電子工学科)
  • 菅原 聡 (独立行政法人 北海道開発土木研究所 農業 開発部)
  • 高橋 保之(財団法人 北海道農業近代化技術研究センター)
  • 西崎 邦夫(帯広畜産大学畜産科学科)
  • 西宗 昭 (ホクレン農業協同組合連合会)
  • 野口 伸 (北海道大学 大学院 農学研究科)
  • 原 令幸 (北海道立北見農業試験場)
  • 山田 一茂(北海道農業研究センター環境部)

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